2012年5月9日水曜日

ビヨンセ @ さいたまスーパーアリーナ | 洋楽ライヴレポート | RO69(アールオーロック)


ジャパンツアーの最終日、さいたまスーパーアリーナ2デイズの2日目。
先に謝ってしまいます。私、デスチャの頃からちゃんと彼女をフォローしてきたような、正しいファンではありません。最近まで、彼女に対しては世間並みの知識しかなかったにもかかわらず、サマーソニックで観て、あまりのよさにこの来日のチケットを買いに走ったような、いや実際はイープラスの先行でとったので走ってはいませんが、とにかくそんな、いわゆるにわかファンです。
そんな者が、このライブについて偉そうに語っていいのか、というのがとてもあります。と、つい、へりくだりたくなるような、土下座した上に毛髪までむしりたくなるような、そんなすさまじいステージだった、今回も。

基本的に、曲順や映像や演出とかはサマソニの時と一緒で、途中でサマソニの時はなかったブロックが加わった構成。逆か。フェスだから、時間の関係で、このツアーから中盤を一部カットしたのがサマソニだった、ということですね。
なので、全体の2/3くらいは、2ヵ月前に観たのと同じだったんだけど、とにかくもう、何度観ても、ほんとにもう、ただただありがたいばかりでした。しかも、サマソニの時はスタンドの上の方で観たんだけど、今回は1Fスタンドのまんなかへんだったので、センターステージにビヨンセが来た時なんて肉眼でよく見えて、前回はわからなかったいろんな発見があったりした。
では、前回わかったことも、今回わかったことも含めて、ライブのディティール、いろいろ箇条書きにします。


彼らは私が歌詞を行うすべてのことについてのtalkinされて

●オープニング、幕が開くと、ステージ中央には仁王立ちのビヨンセが。で、しばらく無音のまま、身じろぎもせず仁王立ち、しかるのちに曲が始まるんだけど、この「しばらく無音のまま仁王立ち」で、いきなりやられます。サマソニでもそうでしたが、みじろぎもせず、正面をみつめるビヨンセ、そのものすごい威圧感、ものすごい存在感、ものすごい不敵さ。
前の席に、5歳くらいの女の子を連れたお母さんが観に来ていて、「大丈夫かな、この子」と心配になってしまった。たぶんその数時間後、家の布団で夜泣きしたと思う、あの瞬間を思い出して。熱くらい出ていても驚かない。

●バンドは、ギター、ベース、ドラム×2、鍵盤×2、パーカッション、コーラス×3、ホーン×3の13人編成、全員女性。プラス、女性ダンサー4名と男性ダンサー4名が、出たり入ったりする。
ビヨンセがひっこんで、ダンサー中心でパフォーマンスするコーナーや、ぱんぱんに太った(そう、だらーんとした太り方じゃなくてぱんぱんに張ったあの感じです)黒人女性コーラス3人のコーナーや、PVのコーナーもあり。あと、ギターとベースとパーカッションのソロ・コーナーもあり。これがもう、いちいちうまいしかっこいい。
なお、鍵盤のひとりは、リエという日本人。サマソニの時も、この日も、ビヨンセに紹介され、歓声を浴びていました。

●そのバンドの生演奏と、トラックと、PVコーナーでただ曲が流れてるだけのところ、その3つが入り混じりながら進むステージでした。

●マイケル・ジャクソンのトリビュート的なコーナーもありました。前述のベースのソロのところと、後半で歌うビヨンセのバックにマイケルの写真が大写しになるところの、2回。


だれが私歌詞はウィルロジャースのために残っていない

●2万円のVIP席がある。というのが、事前に話題になっていましたが、それ以外に、柵前の右端と左端に、それぞれ20~30人ずつくらいのファンがいて、時々そこにビヨンセがひざまずいたり手を差し伸べたりするたびにワーキャー盛り上がる。あれなんなんだろう。一般のファンなのか。それとも、クリスタルガイザー(ビヨンセがCMに出てるので)飲んで応募するとあそこに入れるとか、そういうことなのか。とにかく、それが演出の一部になっていました。

●サマソニの時と同じく、センターステージあり。途中、ビヨンセ、ステージからそこまでモーゼの十戒のごとく設けられた通路に下り、客にタッチしたりしつつ、歩いてセ� �ターステージまで移動。そこでしっとりと熱唱して、次はダンサーと踊って、そして最前列の男に名前を言わせて、その名前を歌詞に入れてその男をじいっと見つめながら歌って……などなど、もはや暴力とまで言いたくなるほどのサービスを、次から次へとくり出す。その度にアリーナも、スタンドも、大騒ぎ。

●さらに、白いハンカチで汗をぬぐって……いや、大して汗かいてなかったから、ただハンカチを額や頬に当てて、それをフロアに投げ入れる、というサービスも何度も何度もあり。後半、「今日が誕生日の人、いる?」と手を上げさせ、"ハッピーバースディ"を歌う、というサービスもあり。ライブのすべてが終わり、最後にビジョンに映し出されたのは、おなじみのセリフ"I am…yours"。そして終演後、さいたまスーパーアリーナの前の道路にて、帰途につくファンでごったがえす中、ワゴンの窓を開けて手を振りながら走り去り、あたり一面をパニックに陥れる(粉川も書いてたけど、これ恒例みたいね)。
と、ほんと徹頭徹尾ファンサービスに満ちたライブでもありました。


誰がミルクの歌詞をこぼした

●ビヨンセのライブって、彼女がステージのどこにいても、何をしていても、常に顔に風が当たるようになっているんですね。髪の毛が顔の前に落ちてこないように、というのと、正面から風を浴びると髪が後ろにぶわあってなる、そのワイルドなフォルムを維持するための演出だと思われます。昔懐かしいあれで言うと、2時間ずっとTMレボリューション状態、と言いましょうか。
サマソニの時は遠かったからわからなかったけど、今回は「なるほど、ステージ前のあそことあそことあそこにファンが設置されていて風が出てるのか」というのを、目で確認できました。

その他、アラニス・モリセットのカヴァーやったりとか、衣裳替えが何度もあったりとか、ホームビデオで撮られた子供時代のビヨンセの映像とか、そこにお母さんも映っていたりとか、ビヨンセの歌でダンスするオバマ夫妻の映像とか、いろいろいっぱいあったんだけど、これくらいにしときます。

とにかく。終始、すごかった。音楽と映像とダンスと照明による、総合エンタテインメント芸術。なんだそのどっかの専門学校みたいなコピーは。でもそれくらいしか書きようがありません。全編が終わった時、アンコールを求める気にな� �ない感じだった。ほら、芝居やミュージカルのアンコールって、もう一回出てきておじぎして、みんなパチパチパチって拍手するだけで、「もっと観たいから芝居の続きやって」とは誰も言わないでしょ? なんか、それに近い感じがした。


そして。この日改めて思ったけど、ビヨンセの何がすごいって、わからないことだ。
何が。一体何がこの人にここまでやらせるのか、何がこの人をここまでかりたてているのか、という、そのヴァイタルのありかがわからない、ということです。
安直な比較だけど、例えばマドンナならよくわかる。あのすさまじいライブに行き着くまでの、彼女のバックグラウンドや主張やメッセージ性が見えるし、理解できる。個人的にマドンナは長年のファンだからわかるけど、ビヨンセはにわかファンだからわからない、というわけではないと思う。マライア・キャリーだって、ブリトニー・スピアーズだって、なんでああなるのかが、なんとなく理解できる。

でも、ビヨンセはわからないのだ。すべて計算ではと思う瞬間もあれば、全部天然の本能にしか思えない瞬間もある。野生動物のように見える時もあれば、サイボーグのように見える時もある。人のためにやっているふうにも捉えられるし、自分のためだけに歌って踊っているようにも捉えられる。地位や名声や金なんかいらな いふうにも、もう何もかもほしいふうにも思える。
父親がプロデューサーである、というのは有名だけど、ジャクソン・ファイブみたいな「ああ、なるほど、だからこうなって、ああなって……」みたいな、アメリカのショービズ界のわかりやすいストーリーが、透けて見えるわけでもない。前述のオバマ夫妻の映像も、ハンカチを投げるファンサービスも、「ああ、だからこうなんだ」というような、この人の思想や、人となりや、ものの考え方に、なんかうまくつながっていかない。頭の中で、像が描けないのだ。
だから、わからない。その「わからなさ」に、自分が強力に惹きつけられているんだ、ということだけが、この日のライブでわかったことだった。(兵庫慎司)


セットリスト(10月21日追記)
1. デジャ・ヴ/クレイジー・イン・ラヴ
2. ノーティ・ガール
3. フリーカム・ドレス
4. ゲット・ミー・バディード
5. スマッシュ・イントゥ・ユー
6. アヴェ・マリア
7. ブロークン・ハーテッド・ガール
8. イフ・アイ・ワー・ア・ボーイ
9. ディーヴァ
10. ラジオ
11. ミー、マイセルフ・アンド・アイ
12. エゴ
13. ハロー
14. ベイビー・ボーイ
15. イレプレイスブル
16. チェック・オン・イット
17. ブーティリシャス/バガブー/ジャンピン・ジャンピン
18. アップグレイド・ユー
19. ヴィデオ・フォン
20. セイ・マイ・ネーム
21. アット・ラスト
22. リッスン
23. シングル・レディース(プット・ア・リング・オン・イット)
24. ヘイロー



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